2011年07月27日

河村改革の良いところ、悪いところ

先々週の週刊ダイヤモンドの第2特集が名古屋市の河村革命です。その中で、元副市長の大西聡さんのインタビューがあります。元トヨタ営業マンで、民間から引き抜かれたようですが、「元」とあるので、最近辞めてしまったようです。

そのインタビュー内容で、非常に共感を覚える部分があります。

・行革をするために、市役所に入った

・行革の柱は、組織の簡素化、仕事のやり方の見直し、処遇の改革(人事考課制度を作りなおす)の三つ

私も、行革の柱は、この三つだと思います。行革の目的は、業務改善、コスト削減、そして結果としての生産性向上なのですが、そのためには、その三つが絶対に必要です。

例えば、表面的なコスト削減は、一時的で継続しません。コスト削減は、担当課(担当者)が自らの業務を省みて、無駄を自覚し、それを自発的に削っていく体制にならなければ、継続しません。

事業を廃止するような、外科手術的な大きなコスト削減と、業務改善による内科処置的で継続的なコスト削減の両面が必要です。組織体質として大事な部分は、後者の方です。

そのためには、仕事のやり方の見直しが必要ですが、それが自発的に起こるようにするには、組織の簡素化、処遇の改革が必要です。小さい組織で、それぞれが権限と責任をもって動くことが、組織の簡素化です。組織目標が実行されれば評価され、実行されなければ評価されないという、当たり前で透明性の高い人事考課が処遇の改革です。

こういった組織設計が機能するようになって、自発的な「仕事のやり方の見直し」が、各部署でどんどん生まれてくるのです。
大西さんは、おそらく、これを言いたかったのだと思います。

短いインタビューですが、河村改革の行革は、まだ表面的な行革だと言っているような気がします。人件費の一律カットは、確かに行政コストを削減させましたが、行革に必要な処遇の本質的な改革には手をつけておらず、一時的なコストカットに終わっていると言っているような気がします。

また、組織の再編や簡素化は全く進まず、逆に副局長ポストの新設は逆行だと言います。

定年近くまで昇給する、年功序列が強い待遇制度、また公平・順繰りの人事考課の見直しも進んでいないと言います。

ただし、圧倒的な人気を持つ河村市長でなければ、行革は進まないとも言います。河村市長がその方向性を認識し、若干のプレーンスタッフと一緒に強く推し進めれば、できるはずだと期待もしています。

私自身も、まだ行革の本質には手をつけられてはいません。が、本質の場所はわかっているつもりですし、進め方もイメージは持っています。本質に手をつけるということは、長い時間の蓄積で成立した組織文化を変えるようなものです。大変な作業ですが、この仕事をさせていただく以上、しっかり取り組んでいきたいと思います。

posted by 秋山ひろやす at 12:16| 組織運営 | 更新情報をチェックする

2011年03月08日

政治家の仕事、官僚の仕事

大前研一さんが、「これが本物の官僚改革だ!」というエッセイを書いています。
http://president.jp.reuters.com/article/2011/02/21/5C8F4942-38EB-11E0-AF51-9AFF3E99CD51.php

大学時代に彼の本を読んで、経営コンサルティングという仕事に憧れ、そのまま経営コンサルティング会社に就職したという、まさに私の人生に最も影響を与えた方の一人です。コンサルティング業は、複雑な事象を様々な手法で解き明かし、事実に基づいた形の論理を積み上げ、結論を導きあげる仕事です。そういった意味では、理屈理屈の世界ですが、大前さんの特徴は、理屈理屈と積み上げた上で、さらにそこから一気に飛躍して、新しいパラダイムを提示するという、独特の手法にあります。このパラダイム提示は、時に三歩先を行き過ぎていて、現実離れという印象もあるのですが、停滞感を打ち破るパワーもあって、魅力的に映ることもあります。だから、今も人気があるのだと思います。

今回のエッセイをまとめると、
  • 昔の官僚は、かなり大胆な長期戦略を描いたし、成長を背景にそれを描きやすかった
  • しかし、成長が鈍化した時の長期戦略を描くのは難しく、ゆえにバブル崩壊以降、官僚の長期戦略は迷走した
  • そこで政治主導と、政治家が主張したが、勉強と経験が不足する政治家にできるわけがない
  • 官僚の迷走は、長らく続いた行政組織の弊害が大きくなっているからだ
  • それは、縦割りと専門家が進み、だれも全体を考えなくなったという弊害 (専門的になることで評価される役所の縦割り文化)
  • 例えば、対中国外交については意見が言えても、日本全体の外交方針については意見が言えない
  • 長期戦略を描くための大局観を持つには、広い分野における本質的な理解と将来洞察が必須だが、それは勉強不足の政治家には無理か
  • ゆえに、既存の延長と、既存の発想の枠組みで物事を考えてしまい、結局「変化」に対応できない事態になっている


最後は、既存の組織をぶっ壊せという、短いエッセイならではの、乱暴な結論になっているのですが、抜本的な改革を行う時は、大局観に基づいた長期戦略が必須です。選挙でコロコロ変わってしまう政治家は、大局観は持てても、戦略は描けません。選挙の洗礼を受けない官僚エリートが、その役割を担い、政治家の判断を仰ぐのが、あるべき政治主導だと思います。政治家の仕事は長期戦略を官僚に提案させ、議論し、修正し、判断することです。

大前さんは、今の(霞ヶ関)官僚エリートは長期戦略のたたき台を提示できないと言っていますが、正直よくわかりません。ひょっとすると、長期戦略を判断する大局観を政治家が持っていないだけかもしれません。
ちなみに、長期戦略も出せない官僚と、大局観もない政治家の組み合わせだと、最悪です。すべてが目先の対応になってしまい、将来を勘案した「目先の対応」になりません。

これは、柏についてもあてはまるものです。もちろん、地方自治の場合は、国の制度体系に大きく影響を受けるので、単独の長期戦略は厳しいですが、国の動向を想定して、長期で考える必要があります。これが後期基本計画であるのですが、もう少し先の長期戦略も必要でしょう。来年度中には、「10年後に柏がこうなると予想されるから、今これをやっていく」という提案を、各部門でできるようにしたいと思います。特に、巨大投資となるゴミ部門は必須だと認識しています。
posted by 秋山ひろやす at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 組織運営 | 更新情報をチェックする

2011年03月07日

若い上司の勘違い、政治家の勘違い

ユニクロの柳井社長の発言にはついつい注目してしまいます。10年以上前に、ご縁があって山口までお話を聞きにというか、面接を受けに行ったこともありました。本当に丁寧に対応して頂き、感謝する一方で、柳井社長から繰り広げられる壮大な目標に当時は驚くというか、お腹いっぱいで消化不良気味でした。当時、売上目標が2兆円だと言っておられました。ちなみに、今は連結で8000億円です。

その柳井社長のコラムが、日曜日の朝日新聞にありました。「若い上司の勘違い」というタイトルで、たくさんの若手幹部候補をユニクロの中で見てきた柳井社長の含蓄たっぷりのエッセイです。(ユニクロは、幹部候補を外部から、ばんばん採用しますが、一方でがんがん入れ替わっていきます)

私なりに、簡単にまとめてみると
  • 一つ目は、チーム全体で成果を出すという発想がなく、自分自身が成果を出せばよいという勘違い
  • 一人でできることは限られており、何十人、何百人の社員が一致協力して、それぞれの強みを生かしてこそ、大きな成果が出るという、当たり前なことを理解できていない
  • 二つ目は、正しい指示さえすれば人が動くという勘違い
  • 人が動くということは、何百回同じことを伝え理解してもらい、あの手この手で説得し、何よりも相手を認めるという姿勢がなくてはならない
  • 相手を認めるとは、相手を見ることで、お互いの強み弱みを理解し、どうしたら成果が上げられるかを議論すること


私自身も若い方に入ると思うので、ありがたくメッセージを頂戴します。でも、これって、国の政治家の勘違いと一緒?
posted by 秋山ひろやす at 06:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 組織運営 | 更新情報をチェックする

マネジメントも政治家の仕事

更新がしばらく滞り、申し訳ありません。花粉症の症状がいよいよ本格化して、辛い季節となりました。

さて、市長になる前は会社再建というテーマで仕事をすることに恵まれました。経営者として会社再建に挑む場合もあれば、経営コンサルタントとして会社再建をサポートする場合もありました。

両者とも会社再建の仕事ですが、本質的には大きく違います。経営者は、当然のように結果に責任を負います。「意思決定」を行い、「組織」を動かし、結果を出さなくてはなりません。マネジメントが仕事です。一方で、経営コンサルタントはあくまでもマネジメントの支援が仕事です。経営者の「意思決定」や「組織運営」の判断のために、サポートを行うことが仕事です。種類が違うのです。

当然ですが、結果の責任を負う「経営者としての会社再建」の方が大変です。結果に向けて組織を動かす、つまり経営目標に向かって、社員の最大限の力を引き出すことが必要であり、これが大変なのです。今までのやり方が悪いから、会社の業績が悪くなったのであり、それを修正する、つまり仕事のやり方を変えて、新しいやり方で業務をやっていく、この転換のマネジメントが結構大変なのです。

柏市長も同じですが、今の政治家に求められているのは、「行政のあり方の、根本的な変革」です。ある意味、再建です。したがって、転換のマネジメントが求められているのだと思います。転換のマネジメントとは、目標に向かって仕事のやり方を変え、それを組織全体に徹底することです。

政治家は「理想」を掲げることが仕事でありますが、「理想の実現」という結果責任も負っているわけです。そして、その実現のためには、行政組織のマネジメントが必須であるわけです。最近は、転換のマネジメントという、さらに難易度の高いスキルが求められています。

「理想」を掲げるだけが仕事ではないのです。行政組織のマネジメントを通した、理想実現が本当の仕事です。今の政治家が抱える大きな問題は、この行政組織のマネジメントに対して、自覚が弱いということです。指示さえすれば、物事は勝手に動くということはありません。

また、このマネジメントに対して世論も厳しいというか、「できて当然」という前提があります。民間の世界では、「なかなかできない」から、経営コンサルタントという仕事が生まれ、また多くの経営書が発行されるわけです。行政組織のマネジメントも同様に難しいはずであり、その試行錯誤には少し配慮があっても良いのではないかと思います。

第三者的に書いてはいますが、まさに私の話でもあります。行政組織のマネジメントは初めての仕事ですが、民間と似ている部分も多いと思います。結果が出るように、行意組織のマネジメントを自覚的に行っていきたいと思います。
posted by 秋山ひろやす at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 組織運営 | 更新情報をチェックする

2011年01月12日

市長のマネジメント力

微妙に評価が割れる「産業再生機構」の実質社長であった、冨山和彦氏が、民主党の国家議員の「マネジメント力」を嘆いています。(週刊ダイヤモンド 2010年12月11日号)

「政治主導」を「権限と人事権で脅し上げる組織運営」であると、民主党の議員は誤解しているのではないかと言っています。所属人数が少ないゆえに、好き勝手ができた議員事務所くらいしか運営したことのない議員には、巨大な官僚組織運営の難しさ自体を認識していないのではないかと述べています。官僚組織の運営は、日本中のどの会社を運営するより難しいということを、しっかり自覚すべきとも述べています。

ドラッカーの経営哲学を引用しながら、
1 組織運営とは、ヒトを生かすこと
2 そのためには、人材の特性に対する理解が重要
3 権限と責任の委譲で、活躍(自主性を引き出す)する場を作る
4 成果と報酬と働きがいの、絶妙な関係を見極める
など、経営の難しさを強調し、その難しさへの自覚がない民主党議員は、一から出直すべきと、ばっさりです。

念のため、言っておきますが、議員と大臣(や市長や知事)の仕事は違います。議員は良いか悪いかを判断する(議決する)ことが仕事ですが、大臣(や市長や知事)は、制度を提案し、そして組織を運営することが仕事です。つまり、マネジメント力を問われるのは、首相を含む大臣(や市長や知事)です。

市長である私も、結局「マネジメント力」が問われているのです。マネジメント力とは、非常に抽象的な内容ですが、抽象的故に、どれだけ自分の中で解釈できているかが大事です。

一部の市民の皆さんからは、「市長になったのだから、もっと好きなように大胆にやれ」と、権限を背景に、アグレッシブな組織運営をすすめられます。創業社長のように、会社の業務のほとんどについて社員の誰よりも知っている場合は、アグレッシブな組織運営はありです。しかし、私の場合は、まだまだ知らないことばかりですから、市役所職員の力を引き出す運営こそが必要です。引き出す経営とは、まさに「話を聞き、内容を整理し、次のステップへの指示を出す」ことの繰り返しです。もちろん、この繰り返しの中で、市役所の悪い癖を直していかなければなりませんし、そこがリーダーの付加価値です。

多くの方は、短期的な成果を期待されています。私もその期待の意味はよくわかります。できる部分は、短期的に成果を出します。しかし、より本質的な部分あは、それなりに時間がかかります。

マネジメントとは難しいものです。特に、何十年も歴史のある役人組織のマネジメントは難しいです。試行錯誤が続きますが、ドラッカーの経営哲学を参照しながら、組織運営を行っていきたいと思います。
posted by 秋山ひろやす at 17:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 組織運営 | 更新情報をチェックする

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